入居審査に人生の壁を見たコラムと入居審査する側のコラムを読んで

私も不動産投資家の端くれなので、社会経済の時事ニュースは
なるべくフォローする努力をしたいなと思っています。

先日Yahooニュースをつらつらみていると、
やまもといちろうさんという方のコラムが目に留まりました。

やまもとさんがとある入居審査に落ちた方のコラムについて

これ、ほんと身につまされるんですよね。(デイリーニュースオンライン)

と入居審査をする側の立場で書いてらっしゃいました。

貸す側、借りる側双方に不満があって、対立したいわけではないのにみなが不幸になっているのは、日本自体がすでに下り坂だからという分析は、ほんとうにその通りだなあと思います。

やまもとさんが話題になさった入居審査に落ちた方は、
これまた新聞等にも登場して知名度の高い雨宮処凛さんでした。

入居審査に人生の壁を見た(imidas連載コラム)

私は、このコラムを読んで、上記のやまもとさんのような国の行く末を案ずるようなおおきな視点の感想は持てず、恥ずかしながら自分本位のちっこい人間丸出しの下世話な感想を持ってしまったのです。

「あー猫可物件探してたならうちに申し込んでくれたらよかったのに。」
それに加えて
「東京ではこんな著名な人が入居審査で落ちるんだ」
という素朴な驚き。

ちなみに私の家賃激安アパート、
ついこの前まで入居者全員単身女性で、
ご年配から若い方までいらっしゃいましたが、
みな非正規雇用の方でした。
今回夏に退去がばたばた続いて最近4か月ぶりに埋まったのですが、正社員さんは1名だけですね。

もちろん、合理的に考えれば、東京で働くフリーないし非正規雇用の方にうちに住んでいただこうと思っても、そういう方は通勤定期を負担してくれる会社にお勤めではない訳です。

うちのアパートのあるJRしか走ってない茨城の郊外に住んで片道運賃1000円も出していては、月20日働くとしても交通費4万円ですから、それなら家賃4万円高くても都内に借りた方がその方にとっていいのは明らかです。

という訳でうちに申し込んでくれ云々はあまりに私の身勝手な妄想なのは理性では解っているのですが、こちらも空室が続くと妄想も出るというか弱ってくるわけです。

残念ながら需給のミスマッチが生じているのですね。

東京には部屋を借りたいのに借りられない人がいる。
茨城には部屋を貸したいのに借りてもらえない人がいる。

私の所有物件と同等レベルの近隣のアパートには猫可物件たーくさんあります。

東京や横浜の猫専用賃貸のように猫にこだわりがある大家さんが猫のための素敵な間取りを用意してくれているような、猫好きによる猫好きのための物件ではなく、たいていは、うちのように、すこしでも入居要件を緩めて幅広い入居者を募集することが生き残り戦略になっている場合がほとんどです。

うちの場合は、もともと前所有者がそのような消去法で猫可にしている物件を買ってしまったわけですが、何を隠そう、私猫好きなので、なんとか猫可でうまく経営を回していけるようにノウハウを身に着けようと前向きに取り組んでいる次第です。

茨城には茨城の賃貸経営があり、
東京の大家さんには東京のご苦労がおありなのでしょうが、
まだ、入居者を選ぶ余裕が残っている点は驚きです。

わたし自身はチンシャクニンオオヤと名乗っているとおり、
賃借人であり、大家であります。(決してチン尺人ではありません!)
わたしは普通に不動産会社に入居を申し込み
入居審査を受けて貸家を借りて住んでいます。

ですので、このまま私も年を取っていけば、当然に
雨宮さんと同様な困難にぶち当たることは想像に難くない。
決して他人事ではないのです。
というか既に親は高齢、叔父叔母も多くは鬼籍に入り、存命の方は全員リタイアして年金生活ですので、もはや連帯保証人は誰にも頼めない状況です。

幸いにして、私の居住しているあたりの不動産会社さんでは、連帯保証人を付けなくても、保証会社を利用すれば入居させてくれるので、こうして、貸家に住む事が出来ているのですが、
雨宮さんの記事から察するに、もし仮に私が東京で家探しをしても、連帯保証人が居ないために門前払いになって一家路頭に迷ってしまうかもしれないのですね。

私も大家として保証会社は利用します。経営上入居要件を緩めざるを得ない地域でのリスクヘッジとしては保証会社に頼らざるを得ません。

正直、入居者としては保証会社に支払う保証料も、入居審査も
うれしいものではありませんが、一方大家としては、保証会社は頼もしい存在です。

この点ではチンシャクニンオオヤは完全にチンシャクニンの私とオオヤの私の人格がかい離してしまっています。

はるか昔日本が右肩上がりだった頃、都会に何軒も家を持っている資産家さんや、
田舎に広大な土地を持っている地主さんばかりがアパート経営をしていた時代なら、
多少の夜逃げも家賃滞納も、きっと家主側の生活を脅かすようなものではなかったのでしょう。
借地借家法はそうした幸せな時代の遺物です。

しかし、今や銀行から借り入れをして事業として賃貸経営を行っている私たちにとって、
夜逃げ滞納は死活問題になります。
賃料が入らなくても銀行の返済は待ってくれませんから大家は破産してしまいます。
加えて個人事業主の場合未収賃料の損金算入はできませんから実際には貰っていないお金に対しても所得税を取られます。
踏んだり蹴ったりです。

法のよって立つ現実がどんどん先へ進んでいってしまっても、
法と現実の齟齬を修正するには
専門家の方々の多大な労力と時間を必要とするのでしょう。

それを待つ間のタイムラグによって、その時点で解消されていない矛盾の間で貸主も借主も不幸な対立構造に落とし込まれているのでしょうね。

条例などによる補完で借地借家法の時代に即した運用や、それぞれの地域の実情に即した運用がなされればよいなと思います。

もちろん、借地借家法の借主保護を全面的にやめて、
対等な人格同士が結ぶ契約という弱肉強食の無差別金網デスマッチに当事者を放り込む事がフェアな事とは思いません。

そこには消費者保護と同様の精神で弱者保護があってよいと思います。

ただ、そのバランスは時代や地域によって揺れ動くもので、
当事者同士の実情に沿った柔軟な運用が可能になることを
切に願います。

それが無碍な入居拒否を手っ取り早くなくす早道かと思います。
但し、それも対処療法であって、根本原因は、
やまもとさんがおっしゃる通り、日本社会自体の衰退というか、
経済的な右肩下がりによって、「持てる者」の代表ともいえる資産家大家さんでさえ、
夜逃げ滞納というテールリスクに対応し難い状況にあり、
更に、我々のような「持たざる者」まで
借り入れレバレッジをかけて大家業に参入してきて、
大家の多くも余裕を失っているという現実が、
過剰な入居拒否を生んでいるのだろうと想像します。

また、先ほど夜逃げ滞納をテールリスクと申しましたが、
借主側の経済的疲弊度もこの失われた25年の間に深刻化を
進めている訳で、

先輩大家さんや管理会社様とのお話の中で伝え聞いたところでは、大凡の実感で10室に1室くらいは、そういったトラブルが発生するとなれば、もはやテールリスクとは呼べない頻度まで増えている訳です。

簡単な処方箋がない状況で、貸主も、借主も、なんとか
個別目前の問題に最善を尽くして、お互いにハッピーになれるようがんばって行くしかないのです。

(すみません、ここで述べた滞納率については、データの裏付けがありません。茶飲み話程度にご理解下さい。たぶん、管理会社様や保証会社様にはきちんとしたデータがあって聞けば教えてくれるのではないかと。)

 

 

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