ついにラスボスの居城押入れにたどり着いた
勇者チンシャクニンオオヤ。
しかし、大家レベル1のチンシャクニンオオヤ、
武器がない。お掃除グッズとして持っていた雑巾なんて
猫ション大魔王の前ではひのきのぼうレベルです。
(ちなみに猫ション大魔王は、壺の中からは飛んでこないが
押入れの隙間からハハハンハ漂ってきますよ)
一旦退却。
そして、DIY大家の武器屋
ジョイフル本田へGO!
ペット消臭スプレー(猫用)を購入。
緑茶成分配合とかで、オシッコ臭にも利きますって
すばらしい。
翌日本業退社後、いそいそとアパート1号へ
出かけました。
空室のキーボックスから鍵を取り出し、
鍵穴に差し込みひねると、
ガチャリ。
鈍い音とともに鍵が開いた。
いよいよ奴との戦いが始まる。
玄関を入ると暗闇の中、既にそこには猫ション大魔王の
先兵が強烈な臭いの空気の壁となって
行く手を阻むべく待ち構えていた。
怯むことなく奥の窓へ突進し、窓を開けて雨戸を開ける。
すぐに振り返り、居間の掃出し窓を開けて
バルコニーに通じる雨戸を開け放つ。
低い西日からの射るような光に猫ション大魔王の手下達は
蹴散らされ、風に拡散されて窓から逃げて行った。
チンシャクニンオオヤは押入れの襖を一枚ずつ外すと
窓際の壁に立て掛けた。
もはや、猫ション大魔王の居城は外堀を埋められた
大坂城のごとく無防備となり、日光は容赦なく
内部を照らした。
どりゃー!とうお!
チンシャクニンオオヤは雄叫びを上げながら
押入れの壁、棚板、床板全てにスプレーを噴射。
300mlほどの消臭スプレーはあっという間に
空になった。
爽やかな香りが広がり、周囲に清浄な空気が戻った。
「勝った」
一仕事終えたチンシャクニンオオヤの満足気な横顔を
オレンジ色の夕日が染めていく。
だが、その時チンシャクニンオオヤは、この戦いが
長い長い戦いのほんの序章に過ぎないことを知らないのだった。